レンズ・フレーム交換

使っているメガネの具合が悪くなってきた場合に考えられる手立てとしては、

(1)フレームとレンズ合わせてメガネまるごと交換する
(2)レンズのみを交換する
(3)フレームのみを交換する
(4)フレームを修理する

 4つくらいが考えられます。
 (1)は「普通のメガネ購入」ですから、今回は(2)(3)の「レンズ交換」「フレーム交換」について書いていきたいと思います。

レンズ交換

 フレームに問題はないけれど、度が合わなくなってきた……という場合、レンズだけ購入して交換してもらうという方法があります。

 メリット

・店頭で再度フレーム選びをしなくても良い
・気に入っているフレームを続けて使える
・丸ごと交換よりは出費が減る

 

 デメリット

・フレームの痛みについて目視ではわかりにくい
・その為、新しいレンズになってからフレームがどの程度使えるかはわからない
・別売店舗を除いて、フレーム&レンズセットでの購入よりもやや割高な傾向にある

 という点が考えられます。

レンズ交換のリスク

 メガネ屋さんの中には、レンズ交換のみを断るお店もあります。
フレームと合わせての販売よりも、リスクが高くなる傾向にあるので敬遠するんですね。

 見た目わからないだけで、多かれ少なかれフレームには日常的なダメージが入っています。
レンズ入替時の加工は、

・メタルフレームの場合
 リムのネジを外してレンズを入替、再度ネジで留める

・セルフレームの場合
 指で押し出してレンズを外し、枠をヒーターで温めてから新しいレンズを入れる

 という手順を取ります。
 この加工手順に使っていたフレームが耐えられるかどうかという所が問題です。更にその後継続して使用していくわけですから、加工ができた!よかった!では終わりません。

 実際には「年数も経っていますから壊れる可能性はあります」と再三説明したにも関わらず「レンズ交換をした直後に破損した!どうしてくれる!」というようなクレームは後を絶ちません。
 そのフレームがどのような使用状況だったかはその場の目視では大半わかりませんから、メガネ屋さんはリスクを考えてレンズ単体購入の方が割高な価格設定がされている傾向にありますし、交換時のフレームチェックは入念にされるお店が多いです。

共通の問題点

・ヒンジ等に亀裂が入っている
 表向きには見えていないだけでよくあるダメージが、ヒンジ(ツルをたたんで折れる部分)の亀裂です。その時点では開閉が可能で使用に問題はなく見えても、いずれどこかで受けるダメージによって、完全に外れてしまう大きな破損に至ります。
 もちろん加工時に問題が発生しないとは言い切れませんし、亀裂が入っている時点で「破損している」わけですから、基本的には断られます。

・フレームが特殊
 加工そのものが特殊になるフレーム、他社メガネ店オリジナル商品/廃番等で交換できるパーツがない、天然素材系(木/竹/角等)、本物のべっ甲フレームなどは、断られる可能性が高いです。特にべっ甲フレームについては、対応してもらえるお店を探す方が難しいです。

メタルフレーム時の問題点

 色々考えられますが、よく見掛ける事例を挙げておきます。

・リム部分のネジが外せない
 ネジが曲がっている、折れている、緑キャラメルで埋まっている(掃除すればなんとかなりますが…)等々
 ネジが外せなければレンズ交換はできません。
 またそのような状態に至っているということは、そこまでのダメージを負っていることの証左ですから、交換を断られる場合が多いと思います。

・塗装/メッキがハゲている、錆びている
 塗装ハゲそのものはダメージとしては小さなものかもしれませんが、全体的に見た目のダメージがある場合には、相応にフレームそのものにもダメージがあると判断され断られる場合があります。
 目立った錆びがある場合にも同様です。

セルフレーム時の問題点

 材質によりますがメタルフレームと比べると耐久年数が短い傾向にはあります。

・表面が白くなっている部分が目立つ
 アセテートフレームは、経年劣化、吸水等により表面から白っぽく劣化していきます。重度にこの状態になった部分は再度調整することが難しいです(無理にすると割れてしまう)。

・レンズが抜けない
 アセテートフレームは長期になるとどうしても素材そのものが縮んでいきます。その為、枠そのものが小さくなっていき、レンズを締めつけた状態になり、結果レンズ交換したくともレンズが抜けない状態になっていることがあります。
枠を温めれば抜ける場合もあれば、微動だにしない状態の場合もありますので一概には言えません、対応は状態によります。
 (レンズごとフレームを温めることになるのでレンズにクラックが入ります)

結局レンズ交換は有用なのか

 悪い部分ばかりを書いてしまっていますが、丁寧に使われている方・気に入っているフレームが手放せない方にとっては、レンズ交換というのはとても有用な手段です。

 いうなれば、中古のアイテムを部分的にパーツ交換して再使用という格好になるわけですから、そのリスクを承知で依頼をされるのであれば何も問題はありません。

 しかし中には「ポケットに直接メガネを突っ込むような人」が「自分は丁寧に使っている」と自負されている場合も見るので、なかなか難しい所です。
(メガネ屋店員さんは依頼されたフレームがどこからどのように出されるか、どのように扱われているかよく見ています)

フレーム交換

 フレーム交換の方が、その特性から条件がシビアになってしまいます。

メリット

・レンズ交換同様、両方替えるよりも出費が抑えられる
・まったく同じ型番フレームへの交換ならほぼ問題発生がない

デメリット

・レンズを惜しむことで度数変化を見過ごす可能性
・型番違いフレームへの換装の場合、必ず「元のフレームよりも小さいレンズ径」にしないと入れられない
・その為レンズが入ることを優先する為、光学中心がズレる可能性

フレーム交換のリスク

 前述の通り、まず「元のレンズが入れられること前提」ですから、多少「レンズ中心」がズレたとしても形状の確保が優先されます。
 その為レンズの中心(光学中心)が、本来の瞳孔間距離からズラさざるを得ない場合があり、結果プリズムが発生することになり見にくくなる可能性があります。

 それが嫌な場合には、極力元のレンズ径よりも小さく余裕を持って形が取れるフレームを選ばざるを得ません。
(半分枠の無いナイロールフレームの場合には多少融通が利きます)

 購入と同じメガネ屋さんでの交換の場合には、年数によってはまだ同じ商品(色違い含めて)を扱っていることがあります。まったく同じフレームの場合にはレンズを削り直さずそのまま入れ替えることができますから、そのリスクがありません。

フレーム交換が有用なケース

・レンズにキズがほぼ無くフレームだけが壊れた
 傷が付いてしまっている場合には、レンズも交換された方が良い場合が多いです。

・フレームの塗装だけがハゲハゲになってしまった
 汗をよくかかれるにも関わらずあまりメガネを洗浄されない方によくあります。新しいフレームに交換後はマメに水で洗うようにしましょう。

・同デザインで色だけ替えたい
 あまりそのような方もいらっしゃらないとは思いますが…

 

 一部のお店では、半年以内・1年以内等での期間設定で破損時の割引購入が保証されていますから、期間内の場合にはそれを利用(保証書に購入時期の記載があるでしょうから必ず持参しましょう)、それを過ぎた場合には通常のフレーム購入になると思われます。

 フレーム単体の購入金額については、お店の価格形態によりますが、フレームとレンズが別々のお店はフレームの表示金額そのままになりますし、レンズがセットになっているお店では規定の比率などが決まっていると思われます。
→「メガネ屋さんの価格システム」参照

持ち込みフレームの交換

 他社製品、インターネット通販での購入などによる、持ち込みフレームの場合の交換については、更に慎重に扱われます。

ち・な・み・に……

 あまり知られてはいませんが、メガネ屋さんは有料で「加工のみ受付」ということもしてくれます(例外はあります)。

 例えば「インターネットでレンズとフレームを購入」→「メガネ屋さんへ持ち込み加工してもらう」という場合ですね。

 ご自身の好きなフレームがネット上にあり、レンズ度数も自分で解っている、リスクも承知、という場合にだけ使える方法ですが、その方が安上がりになる人もいらっしゃるでしょう。

 加工賃はメガネ屋さんによりますが、数千円程度のことが多いです。
 リスクなどを詳しく書くと長くなってしまいますので、こちらについてはまた別の機会にでも。

 

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