メガネ度数の見方

メガネ屋さんでメガネを作ると、

・度数についての伝票
・レンズの入っていた袋

など、自分の度数がわかるものを渡されると思います。

「この値の意味が知りたい」という人もいると思いますので、順番に説明していきたいと思います。

これは架空の伝票です

S値(sphere

球面値」と言います。

メガネ屋さんではわかりやすく、「近視の値」とか「遠視の値」といった説明をされたりします。

「-」(マイナス)が付いていれば、近視の人の値(→ 近視とは
「+」(プラス)が付いていれば(あるいは何も付いていない)、遠視の値(→ 遠視とは

と見て下さい。
値が大きいほど「強い近視」「強い遠視」となります。

また眼が悪くない人にとっての老眼鏡の値もプラスになります。

プラスとマイナスの意味

プラス・マイナスは相互の関係です。

近視の人は自分の眼自体がプラスになっています。
その為、マイナスレンズで補正し、±0に近くにすれば正視の人と同じように見ることができます。(ただしマイナスレンズの為、本物よりも少し小さく見えます)

遠視の人はその逆で、眼自体はマイナスの為、プラスレンズで補正します(逆に大きく見えます)。

正視の人が老眼鏡を必要になった時にプラスレンズを使うのは、近視の人と同じ状態にするとも言えます。

単純に言うと、マイナスレンズを使用すると「見える位置」はより遠くに、プラスレンズを使用すると「見える位置」はより近くになります。

遠視の人が調節をしない場合の焦点は前方のどこにもないのです…

近視の強さ

定義によって違いますが、

軽度 ~-3.00
中度 ~-6.00
強度 -6.00~

大雑把にはこのような感覚で、人数的に最も多いのが-2.00~-3.00前後、次いで-4.00~-5.00前後です。

メガネ屋店員としての感覚は、-5.00くらいまではまあ普通、-7.00を超えてくると「強いな~」という印象です。
meganecco個人が見たことのある一番強い度数は-19.00あたりでしょうか。

人と比べて強い弱いを気にしても仕方がありません。
しかし度の強い人ほど「店頭在庫のレンズで作れる可能性が低くなる」ので、破損の事態を考えて複数メガネを持っておく方がいいです。

遠視の強さ

遠視人口が少ない為か、遠視の強さの定義については見た事がありません。

メガネ屋さんでよく見る範囲だと、「+1.00~+3.00」前後、「+4.00」程度になると「強いな~」という印象です。もちろん中には「+5.00」を超える人も見掛けますが、そこまでになるとどちらかというと「弱視」になる傾向があるように思います。

遠視の人の比率としては、お店にもよると思いますが体感的には10%~20%程度でしょうか。
また歳を取ると衰えで眼が少し小さくなる傾向にある為、どちらかというとおじいちゃんおばあちゃんによく見掛けますが、成長過程の子供にも見られます。

C値(cylinder)

乱視の値を指します。(→ 乱視について
この値が大きければ大きいほど、乱視が強いと言えます。

メガネ屋さんである程度説明がされると思いますが、大雑把に言うと乱視とは「ちょっと眼の表面がたわんでいること」を言います。

値が大きいほど「たわみ具合が強い」と言えます。

乱視についても「強弱の定義」は見た事がありませんが、よく見掛ける値は「±0.50~±1.00」前後でしょうか。
「±2.00」を超えると「強いな~」と感じます。
中には「±5.00」程度の乱視の人も存在しますので、強い弱いの定義は難しいですね。

符号がマイナスだったりプラスだったりしますが、どちらも正しいです。

AX(axis)

乱視の角度を言います。
「どの方向(角度)で眼がたわんでいるか」という意味合いです。

もうちょっと踏み込んで

という所までが、基本的な値の説明です。
更にもうちょっと細かい部分を書いていきますと……

PD(瞳孔間距離)

黒目中心と黒目中心の間の距離の事を「PD」と表記します。
mm単位で、基本的に二桁です。
レンズ袋には基本的に書かれていませんから、伝票等で確認します。

遠近でなければ、「S値」「C値(乱視)」「AX(角度)」そしてこの「PD」があればメガネを作ることができます。(もちろん乱視無しの人はC値・角度は不要です)

乱視の表記はふたつある

例えば、

S:-2.00 C:-0.50 AX:90

という度数の場合と、

S:-2.50 C:+0.50 AX:180

という度数は、まったく同じです。
例えば「眼科で貰った処方箋と、受け取ったレンズの袋に書かれている値が違う」ということがあるかもしれません。そういう場合にはこのように「値が逆の表記になっている」と思って頂ければ大丈夫です。

視力

お客さんの中には、「(作れるかどうかは)度数によります」という説明をこちらがすると「私は0.1です」というようなお答えをされる人がよくいらっしゃいます。
もちろん、「0.1」は度数ではなく、視力ですね。

眼の形状から把握できるディオプトリーとしての度数と、補正して最も視力の出る度数とは、意味合いが違います。
(私はよくその差分を「眼のパフォーマンス」と表現します)

世間一般の感覚では、両眼視力1.2以上出る人のことを「眼がいい」と表現するような気がします。

メガネやコンタクトレンズで補正をして、一番よく見える視力が1.0に満たない場合を、眼科界隈では「弱視」と言っています。
これが本来の「眼が悪い」であって、視力補正をして視力が出る人のこと……つまりただの近視や遠視の人のことは、弱視とは言いません。
(世間一般ではメガネが必要なことを「眼が悪い」とは言いますが…)

視力とは、もちろんキレイに見える方が快適に決まっていますが、かといってメガネ屋さんに来たお客さん全員に「視力1.2」を提供すれば、全員が満足して帰られるかというとそうでもありません。

中には「ユルめ度数が好き」という人もいれば、遠くがくっきり見えるとしんどいという人もいます。
眼が良い人間にはわからない世界かもしれませんが、結局「必要な視力」というのは「その人の眼の慣れ方によって違う」ので、一概に言い切ることはできないのです。

よく「よく見えるように作ると眼が悪くなるんでしょう?」と聞かれますが、そんなことはありません。

完全矯正・決定度数・旧度

お店によっては渡された伝票などに、複数の度数が書かれてある場合もあるかもしれません。

 完全矯正(完矯)

カンゼンキョウセイ、カンキョウと略されたりもします。
その人の眼が最も視力を出せるように補正した際の値です。

完全矯正値でメガネを作ることもあれば、弱めに作ることもあります。それはその人との話し合いだったり、それまでの習慣などを参考にして決めていきます。

完全矯正のメガネが悪いということは何もありません。

決定度数

実際にメガネとして仕上げる時の度数です。
完全矯正値と同じになることも稀にあります。
近視の人は完全矯正値よりも少し弱めに作る傾向があり、特に乱視補正はしんどくなることを懸念して、弱め、あるいは無しにされることも多いです。

旧度(KB)

前のメガネ(今使っているメガネ)の度数のことです。

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