視力検査と度数決定

今回はメガネ屋さんでの視力検査について、ざっと説明していきます。

もちろん何も知らないままメガネ屋さんに行っても、店員さんはちゃんと検査をしてくれますし、何も問題はありません。

しかし知っていると「今見せられているこれには確かこういう意味があるんだったな~」と、理解ができる部分も増えると思います。

視力検査の注意

見栄を張らないこと

きちんとできるメガネもできなくなります
意思表示ははっきりと
左右がぱっと答えられない人は指差しでも大丈夫です

目的は明確に

どのくらい見えるようになりたいのか?
(運転できるように、遠くの何が見えるように?)

老眼鏡の場合どのくらいの距離で何を読みたい / やりたいのか?
(新聞と文庫ではサイズも距離も違うことが多い、趣味それぞれやPCなどもまた違う)

オールマイティな万能メガネは現状存在しません
あっちもやりたいこっちも見たいというアバウトな姿勢でいると、どっちつかずのメガネになってしまいます

掛かる時間

お店のタイプや、その人の眼の状態によりますが、5分~30分くらいとまちまちのようです。

お手頃価格のメガネ屋さんの方が早く終わる傾向にあり、個人店やお高いチェーン店の方がじっくり丁寧にされる傾向にはあるようです。
(時間が掛かれば丁寧、良いというわけでもないのですが…)

よほど古いメガネ屋さんでなければ、まずは「オートレフ」と呼ばれる眼の屈折状態を計測する機器に通されます。

古いメガネ屋さんの中には、新しい機器を導入せずに昔ながらの検査で進めていくお店もありますが、手順としてはやっていることに違いはありません。

オートレフ

正式名称を「オートレフラクトメーター」と言います。

被験者の眼内に丸い像○を投影し、眼底に映った丸○をCCDカメラで拾い、投影前と投影後の差から屈折具合を計測します。
その時に見せられるのが、まっすぐな道の先にある気球だったり、牧場の中の家だったりするわけです。

その後詳しく見る検査台に通されます。

検査する項目

検査で見るのは、おおよそこのような項目になります。

・S値(近視/遠視)
・C値(乱視)
・AX値(乱視角度)
・利き目
・プリズム
・調節力(老眼)

 丁寧な個人店などでは更に他の検査もする場合がありますが、チェーン店では主にこのあたりで、よく見えていて問題がないと思われる場合には時間短縮の為スキップすることもあります。

ランドルト環

よく使われる検査のための輪っかの指標は、ランドルト環指標といいます。
まずはこれで「視力」をみていきます。

ランドルト環

 ランドルト環には、上下左右の4方向のものと、更に斜めが加わった8方向のものがあります。
8方向の方が若干難しいです。
また、視力表には「ひらがな」のものもあります。

一般的に「視力1.0」「視力1.5」というようなあの値は、規定のサイズと距離で見えた場合の評価です。
学校ではこの値を元に、「A判定」「B判定」という分類をしています。

A判定 視力 1.0 以上
B判定 視力 0.9~0.7
C判定 視力  0.6~0.3
D判定 視力  0.2 以下

開いている方向が、3/4答えられればその視力があるとみなされます
この指標を見ながらレンズを入れ替えて確認されることもあります。

レッドグリーン

眼の中の水晶体を通った光は、波長(色)によって屈折する位置が少しずつ違い、赤と緑では眼底に到達した時に結ぶ位置が少しズレます
その差を利用して現在の眼底に対する焦点位置を確認する指標です。

この指標を見た時に、赤(左)、緑(右)の中に書かれている文字が、

赤い方の黒字がくっきり見える場合には近視寄りの状態、
 緑の方の黒字がくっきり見える場合には遠視寄りの状態、

と言えます。

一般的に「正視」の人は、この左右の文字がほぼ同じくらいか、検査室の条件によっては若干赤色の方が見やすいくらいになります。
また、部屋の明るさなどでも見え方は変わってきますので、検査の時に赤に見えたからダメだとか、そういうことはありません

レッドグリーンの見え方はひとつの目安でしかなく、絶対のものでもありません。
「緑の方がキレイに見える」ということを単純に「過矯正」と説明しているブログもありますが、遠視の人にとってはそれは過矯正にはなりませんし、そう単純な話でもないのです。

乱視検査

黒丸●の集合体や、中央から線が放射線状に広がった図を見ます。
乱視レンズを入れ替えながら、キレイに見えるかどうかを確認していきます。

オートレフの値によっては確認されない場合もあります。

乱視の検査には2段階あり、
・乱視の度数
・乱視の角度
のふたつを決めていきます。

乱視とは、円柱のレンズが入ると思ってください。

円柱の一部を切り取ると90度方向で違う度になるレンズができる

 それをどの向きに入れるか? どんな厚さで入れるか? というのが乱視レンズです。
そのため、乱視の人の眼の表面は、少したわむような形状(ラグビーボールのような)になっていると考えるとわかりやすいです。

利き目

検査の中ではそこまで重要な項目ではありませんので、チェーン店ではスキップされることもあります。

左右の利き手、利き耳があるように、眼にも利き目があります
中央に穴の空いた板を渡されますので、それを前方の指標が穴から見えるようにまっすぐ持ちます

 その後、順番に左右の眼を隠されますから、両目では見えていた像が片目になると見えるか見えないかを答えます。
見えなくなった方が、あなたの利き目ということです。

利き目とそうでない側の眼というのは、少し働きが違います。
利き目側はメインカメラで、利き目ではない方の眼は利き目の補完をしており、左右の差分から立体感距離感などを把握できるようになっています。

時々左右が変わってしまう人がいます。

プリズム検査

ここまで特に違和感がなく、両目で視力が出ている人はまずお目にかからないと思います。
丁寧なメガネ屋さんでは一応確認されるかもしれません。

プリズムレンズが必要な人というのは、斜視・斜位の人で、目が向いている方向が正面になっていない状態のことを言います。
その為、片眼ずつならキレイに見えるものが、両目で見るとボヤけて違和感がある、二重に見えるという状態になります。

十字の絵や、枠のような絵を見せられるので、それがおおむねズレることなしに見えるようなら、問題ありません。
また、目を向けたすぐには気持ちズレている感じがしても、直後にはキレイに見えるなら問題ありません。(軽度の斜位)

身体は精密機械のようには作られていないですから、ごくわずかな斜位は比較的誰にでも見られます。
ただし自力で真っすぐに直せる眼(斜位)をしていても、そのせいで眼を使っているととても疲れる、うまく見えないという場合にはやはりプリズムレンズが必要です。

プリズムレンズは一方が厚くなっているレンズのこと

調節力検査

若い人に対しては、メガネ屋さんではまずされません。

色々な大きさの字が書かれた本を差し出され、それを見ながら検査されます。
まず30cmの距離でその本を見て、自分で持って少しずつ顔に近づけていき、どの位置で読めなくなるか?によって、老眼の度合いがわかります。
顔に近ければ近いほど、老眼は進行していないということになります。

度数決定

主立った検査内容に触れてきましたが、丁寧なメガネ屋さんでは更に細かな項目で検査をされる所もあります。基本的には金額が高いお店ほど検査項目が多く、検査に時間が掛かる傾向にあると思われます。

検査の後には実際のメガネ度数の決定に移ります。
ここからはお客側と相談しながら決めていく流れが多いですね。

近視の人には、ユルめが好きという人もいれば、ばっちり遠くが見える方が好きという人もいます。
それ以上上げたらしんどくなると自分で申告する人もいます。

若い人ほど新しいメガネに慣れやすいです。
それまでの度数が習慣化してしまっていることにより、度を変えてしまうとしんどくなるのが嫌だという人も中にはいます。

確かに急に度を変えてしまうと、最初はちょっとしんどくなることがありますが、若い人ほどすぐに解消されることが多いです。
基本的にはよく見えるメガネの方が、自分自身のストレスが少ない可能性が高いです。

また、遠くがばっちり見える度数にしても、特に問題はありません。
むしろ最近では、ユルい度数の方が近視がよく進む傾向にあるという研究結果も出ています。

度数の決定について、正解はないのです。

度数決定の目安

情報なしの場合の度数決定の目安は、ある程度あります。
「元のメガネ」がある人はそれを下敷きに考えていきます。
ですので、どれだけ壊れていても元のメガネがある方が良いのです。

近視

その人が最も視力を出せる度数~2段階程度下の間

遠視

その人が最も視力を出せる度数そのまま

乱視

その人が最も視力を出せる度数の半分程度
弱い度数なら入れないことも多い。よりキレイに見たい人は半分以上入れてもいい
乱視レンズは合わない人も稀にいる

老眼

「どの距離でどんな作業をしたいか」に合わせて、度数を決める
年を取れば取るほど「テレビの距離用のメガネ」「新聞用のメガネ」「パソコン用のメガネ」と細分化しないと見えなくなります

※最も視力を出せる度数……完全矯正のこと

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